医院開設13周年を迎えて つくばの地に予防歯科を中心に据えた歯科医療をはじめて13年が経過しました。その間、多くの方に来院いただき、予防歯科の大切さをお伝えできたのはとてもありがたいことです。ここに感謝申し上げます。
当時は、定期健診を受ける、定期的に歯石除去などのメンテナンスを受けるということは十分に定着していたとは言えませんでした。多くの国民に予防歯科がいかにご自分の歯の健康のために役立つかという情報が十分に伝えられていないこと、その受け皿となる歯科医院が少なかったことが原因でした。
この10年で少しずつ、環境は変わりました。テレビでも、やっと、予防歯科に取り組む山形の開業医が取り上げられ、インパクトのある放送がありました。

■2014年10月27日放送　NHKプロフェッショナルの流儀
「ぶれない志、革命の歯科医療 -歯科医 熊谷 崇」
＞＞NHK番組情報

■2016年1月28日放送　テレビ東京カンブリア宮殿
「予防すれば虫歯ゼロ！ニッポンの歯科を変える歯医者さん・医療法人社団　日吉歯科診療所　理事長 熊谷 崇」
＞＞テレビ東京番組サイト※公開終了しています

これをご覧になって、同じシステムの医院を探して来院される方も多く見受けられました。
全国でも多くの歯科医院が予防的歯科医療を導入せざるを得なくなっています。私たちはここ10有余年にわたり、予防歯科を実践する歯科衛生士の技術向上に努めてきました。経験年数もベテランの領域に入ったスタッフが多く、患者さんへの対応も満足いただけるようになっています。

そんな折、厚生労働省は2015年1月7日付 健康保険法、医師法に関する照会への回答（厚生労働省発医政0107第3号）として、「むし歯・歯周病にかかっていない健康な人の予防メンテナンスは保険対象外である」ことを公式に表明しました。（別画像）
疾病保険制度である現行の医療制度では、現在何の問題もない健康な人が予防歯科を保険で受けることは認めませんという見解です。すると、これを持って、予防は自費でなければできないと転換する医院が出てきました。自分の歯を守るのにコストの負担はやむを得ないというものです。欧米に比して日本の歯科医療は低いコストで規制されているので、保険でできないというなら自費で受けてくださいということになります。
しかし、私はこの流れはおかしいと思います。メタボの健診や禁煙が保険導入されています。禁煙は、喫煙習慣がある人の方が将来の医療費がより増加するので、予防し禁煙できた方が医療費削減につながるという試算が出たからでした。予防歯科も同じです。健康な歯を維持出来る人を増やす方が、将来、虫歯治療、被せ物治療、ブリッジ、入れ歯と医療費をかけるより予算を削減できるというデータはあります。なにより、自分の歯で噛めることがQOLの向上に直結し、寝たきりになる人を減らせるはずです。
ですから、こういう医療への投資はゼロにすべきではないと思います。
そうは言っても、全く問題がない人が3ヶ月ごとに定期的に清掃を受けることも医学的には推奨されないのも事実でしょう。そういう方々は、半年以上空けて、自主的に歯科医院に来院されるといいでしょう。管理する形では無理ですが、その都度、初診で対応させていただければ、保険で悪いところがないか調べることは許されます。
むし歯の治療がいつもある人や歯周病が治りきれなくて定期的に通院が必要な方々は、従前通り、一定の条件下で定期管理を保険で受けていただくことができます。
結論としまして、私たちの目指す、お口の健康を維持管理する予防歯科医療は、これからも継続可能です。来院される多くの方々のご期待に沿えるようスタッフ一同、より研鑽を積み重ねて参りたいと思います。

平成28年4月吉日　　医療法人社団佑文会　つくばヘルスケア歯科クリニック