■2014年 2月 24・25日 第8回 中山セミナーを実施しました

第8回 中山セミナー

第8回 中山セミナー
 理事長 千ヶ崎乙文

昨年11月に引き続き、今年は、集中して中山セミナーを受講することにしました。
実施は、2月24、25日の2日にまたがって行いました。
この4年間、中山先生には、歯科衛生士に歯石除去の基礎技術を叩き込んでいただきました。歯周病を治療、予防するには、歯の表面に沈着した歯石を取ることが絶対必須です。その上で患者さんが自分できちんと清掃して維持できなければなりません。
目に見えている塊の歯石を取ることは、どこの医院でもできます。しかし、歯肉の中や歯の接触している点の直下に付着する薄いフィルム状の歯石を除去するには、熟練の技術が必要です。そのためには、細い短針でソフトに触知し、よく磨がれたスケーラーで丁寧に除去することができなければなりません。結局、歯石が残っているポケットは、直らないのです。

相互実習や患者体験で歯科衛生士自身も、薄いフィルム状の歯石除去をトレーニングしてきたのですが、実際に患者さんの特定の部位に付着した歯石が取れずに直らないという例も多くなりました。
そこで、これからの中山セミナーでは、臨床に直結したレッスンを受けようと、各衛生士がメンテナンスで呼んでいる患者さんを実際に、中山先生と共同で治療するプログラムを行いました。1.5日にわたり、通常に近い治療予約の中で、中山先生による診断、治療、アドバイスを10名近い患者さんにご協力いただき、実施しました。
中山先生と患者さんとのコミュニケーションや施術を間近で体験し、さらに、担当衛生士自らも施術し、中山先生のチェックを受ける、その違いを患者さんから教えていただく、こんな流れで治療を行いました。

日頃、何となく歯石が残っているかもしれないザラツキを感じていても、確信が持てない、確信できても、除去できない悩みを抱えていた歯科衛生士にとっては、今回のようなプログラムはとてもためになったはずです。また、患者さんにとっても、日頃の歯科衛生士の努力がわかり、また、我々が何を目指しているのか、ご自分の口で体験でき、今後、メンテナンスに通院する理由や意義を十分に理解して頂けたとすると、とてもいい機会だったと思います。

今年は、6月と10月に同じプログラムを予定しています。

第8回 中山セミナー

患者さんの症状の原因が理解できました
 郡司 とし江(歯科衛生士)経験9年目

1. 理解できたこと
  患者さんの症状の原因が理解できました。咬合により、いろいろな部位で様々な症状が起こってしまう。起こるべくして起こっていることにびっくりしました。
自分が変わらなければ、患者さんは変わらない
親不知は早いうちに抜歯した方がよい
歯石のあるなし、患者さんと共有していって、除去してもらいたくなる。そして継続に継っていく。
3. シンポジウムを聞いて今後役立つことはあるか
  1回のメンテで全部歯石を除去しなくても良い。時間をかけてとっていけばいい。
4. 総合的感想
  実際の患者さんを診ていただくことが、すごく勉強になると思いました。探知にしても、実際ポケットがあったりする人など固定の場所も覚えられますし、実際どう対応していくかなど勉強になりました。それと、やはり切れるスケーラーはよく取れるので、仕事にやりがいがあります。(中山先生のスケーラーと自分のスケーラーでは、歯面のあたり方も違うし、切れ味も違う。)
中山先生のスケーラーだと積極的になれます。



感覚が鍛えられるように試行錯誤しながら取り組みたいと思います
 柴崎 静香(歯科衛生士)経験25年目

1. 理解できたこと
  患者さんも歯面の形態、歯石等を感じ取っていらっしゃること
中山先生と私の手技の違いについて感じ取り、表現して下さること
薄い歯石が取り残されていること
患者さんへのアプローチの仕方に工夫が必要なこと
一生をかけてきれいにするという思いや技術、丁寧な仕事をすること
2. わからなかったこと
  ポケット底まできちんと器具を到達させ、探知、歯石除去が痛みなくできるようにすること
取り残さず、根面がツルツルになるまで、薄い歯石になっても除去できる技術
3. シンポジウムを聞いて今後役立つことはあるか
  患者さんへのアプローチを工夫し、コミュニケーションを取りながらやる作業にばかり夢中にならず、満足していただけるような技術を習得できるまで粘り強く取り組むこと

CEJ、ポケット底、歯根のくぼみ、インレーマージンの下、取り残しやすい部位を注意深く根気強く、歯石をツルツルになるまで除去し、きれいになったと実感していただけるようにすること

最後まできちんと歯石除去を行い、かえって歯石沈着を促すようなスケーリングをしないようにする
4. 総合的感想
  いつものセミナープログラムと違い、実際に中山先生がどのような言葉がけをしながら、歯石除去を行ったり、診断内容について説明するのか具体的に理解する事ができた。
自分では、いつもより丁寧にしっかりツルツルの歯面を目標に歯石除去を行ったつもりでも、取り残しがあり、中途半端な手技により、かえって歯石を付きやすくしてしまうことになる。かなり丁寧な仕事をしなければならず、目標をまた改めて再確認することはできたが、かなり高い目標であるということもまた感じている。簡単に届かない目標だからこそ、やりがいのあることなのだと思い、また次にお会いするときまで、モチベーションを保ちつつ、頑張ろうと思います。
感覚が鍛えられるように、試行錯誤しながら取り組みたいと思います。



技術的な向上と患者さんへのホームケア指導で改善を目指したい
 須長 美紀(歯科衛生士)経験11年目

1. 理解できたこと
  ポケットのあるところはやっぱり残石していることが多いと実感しました。さらに、分岐部の骨吸収などあまりに進行がみられるところは、他の歯牙への影響を考えると早めにEXTを決心してもらう必要があるなと思いました。
2. わからなかったこと
  細かいザラつきはまだまだ探知が難しく、徐々に患者さんの口腔内で慣れていくしかないのかなと思います。
3. シンポジウムを聞いて今後役立つことはあるか
  スケーラーを歯軸と平行に挿入することばかり意識していましたが、歯牙同士が近接したところは向きを変えてみると動かしやすいこと、さらに力の入りすぎていたことは今後注意してみようと思います。
探針操作では先生とのタッチに差があると患者さんからも教えてもらい、痛みを与えていたようだったので、歯面から先が離れてしまっているのだと思いました。
4. 総合的感想
  細かなところの歯石となると、力でなく軽いタッチで少しずつ除去していく必要があるので、すべてをとろうとせず、徐々にやるしかないと思いました。
それには技術的な向上と患者さんへのホームケアの指導を続けて、少しでも長く、いい状態、改善を目指していけたらと思います。少しだけ前向きに考えられるようになりました。

第8回 中山セミナー

セルフケアやSRPの事を理解してもらうには自分が変わらなきゃいけないという話が心に残った
 岡野 敦子(歯科衛生士)経験10年目

1. 理解できたこと
  探知、SRPともに圧が弱い
CEJ付近は汚れが残りやすい。CEJなのか、歯の形なのか歯石なのかをイメージする。音の違いもある。
親不知の悪影響
患者対応もシャープニングも試行錯誤。工夫する。
2. わからなかったこと
  メインテナンスの時間配分とか内容を患者さんに合わせて対応していくが、うまくいくか心配。
3. シンポジウムを聞いて今後役立つことはあるか
  固定が弱い→ポジショニングの確認が必要
探知の圧が弱くて、触られる感じが先生と比べて分かりにくいことのことだったので、押し付けるようにしつつ、患者さんに感じを聞くことを怠らない。
SRPの力も先生と比べると弱いらしい。
4. 総合的感想
  メインテナンス、SRP時にコミュニケーションをとりながら進めていくことが大切と分かっているけれど、やることをやらなきゃと優先されてしまい、結果、患者さんにも私にも悪循環になっている。きれいにして気持ちよく帰ってもらうだけではなく、セルフケアやSRPの事を理解してもらうには、自分が変わらなきゃいけないという話が心に残った。



自分の歯で噛んでいくにはどうしたら良いかメインテナンスを通して理解してもらえるようにしたい
 佐川 優子(歯科衛生士)経験10年目

1. 理解できたこと
  限局的に歯肉ポケットがあると、endo由来からきている可能性が高いことが分かりました。ずっと、P由来と思ってメインテナンスのたびにスケーラーをあてていましたが、気分的にすっきりしました。これから治療し、骨がどう変わっていくのか患者さんと共にみていきたいと思います。
3. シンポジウムを聞いて今後に役立つことはあるか
  分岐部ができてしまうと先のこと(前の歯や周りの歯)、清掃性のことを考えるとEXTして骨の安定をはかった方がよいということ
一人で抱え込まないで、先生達にもっと相談して、歯肉ポケットの深いところをそのままにしておかないようにすること
4. 総合的感想
  先生に見ていただき、患者さんに自分の歯がどういう状態かということを理解してもらえたと思います。これから先、どうしたら良いかということが分かって、患者さん自身の決断で口の中の状態が変わっていくので、自分の歯でしっかり噛んでいくにはどうしたら良いか、メインテナンスを通して理解してもらえるように患者さんと関わっていきたいと思います。



自信がなく躊躇ってしまっていたところもあったので少しずつ勇気を出していきたい
 北島 明奈(歯科衛生士)経験7年目

1. 理解できたこと
  ポケットが残っている所はやはり歯石を取り残していることが分かった。それを取るためのキュレットの選択やあて方を教えてもらい、患者さんにも中山先生との違いを教えてもらったので、技術を習得していきたい。
2. わからなかったこと
  中山先生に歯石をとってもらった後に、私がやると先生にやってもらっているときと感覚が違うと患者さんに教えてもらった。私の方が、優しいという感じらしく、中山先生のほうが、強くしっかりあてていて、取ってもらっている感じがあるそう。
3. シンポジウムを聞いて今後役立つことはあるか
  いつも中山先生の患者さんとのコミュニケーションの取り方は勉強になります。自分の技術に自信が無いので、いつも患者さんに聞くことを躊躇ってしまうこともあるが、患者さんの言葉が自分の技術を磨くことに役立つことが分かって、勇気を出して頑張りたいと思いました。
4. 総合的感想
  今回中山先生にチェックして頂いたところは、やはり、どこも歯石の取り残しがありました。たくさんはないが、ポケット底やマージンのところに残っていて、CK6の使い方や、小さいものはミニを使ったりした方がいいとか、スケーラーの選択を学びました。また、取ってもらう感覚は患者さんにしか分からないことなので、それをしっかり聞かないといけないということを強くおっしゃっていました。自信がなく、躊躇ってしまっていたところもあったので、少しずつ勇気を出していきたいと思います。

第8回 中山セミナー

中山先生が探知したときと私が探知したときとで明らかな違いがあった
 片岡 裕美(歯科衛生士)経験6年目

1. 理解できたこと
  BOPがずっと改善しない原因がやっぱりうすい歯石の取り残しがあるせいだということが分かった。
その他にもフロスは確認していたものの、歯間乳頭を傷つけていたせいもあったとのことで、もっとしっかり確認する必要があった。
2. わからなかったこと
  中山先生が探知したときと私が探知したときとで、明らかな違いがあった。中山先生が触っているときに触らせてもらうと、自分でも確かに取り残していることが分かるが、自分で探知すると思ったようにその場所を見つけることができない。
3. シンポジウムを聞いて今後に役立つことはあるか
  現状、親不知は早い段階でEXTしなければ駄目ということ
隣接にCRが入っている場合、穴を完全に塞ぐことは難しいため、L字状のInにして、Cリスクを低くすることや、OHOMのInはやりかえが必要ということで、早い段階での介入をするということが分かった。
4. 総合的感想
  最近、切れ味が落ちてきていたCK3は、シャープニングの角度が悪かったということが分かった。どうしても尖らせようとして先端やカッティングエッジの近くをシャープニングしたくなるが、それだと早くスケーラーを駄目にしてしまうし、切れ味も悪くなることがよく分かってよかった。シャープニングをするときに注意する。



学んだ事を胸におき明日からも仕事に取り組みたい
 藤田 彩香(歯科衛生士)経験3年目

1. 理解できたこと
  今回の中山セミナーは以前のセミナーと違い、実践的な事が学べました。
患者さんとのコミュニケーションの取り方、施術中も積極的に話しかけていく事で、患者さんの意見を聴いて、より良い関係性を築くきっかけづくりになるという事が理解できた。
2. わからなかったこと
  自分の担当患者さんをお呼びすることが出来なかったので、次回はもっと中山セミナーを通して吸収したいです。
3. シンポジウムを聞いて今後に役立つことはあるか
  除石中、自分の指先の感覚だけでなく、患者さんの施術されている時の感覚を大事にすることです。そのためには、患者さんが話しやすいような雰囲気作りが大切だと感じました。
4. 総合的感想
  セミナーを通して、先輩方や他のDr・DHさんもみんな悩みは同じなのだということを中山先生に聞いて、私だけじゃないと安心しました。
今回の実践的に学べる内容や先生のお話を聞いて、この仕事のやりがいを再確認できました。今回学んだ事を胸におき、明日からも仕事に取り組みたいです。