■2010年 7月 12日 いち早く 明細書発行体制を整えました
 4月(2010年)の保険改正に伴い、当医院では治療内容のわかる診療点数明細領収書を発行する体制が整いました。通常、歯科医院では特別の事情がない限り、来年4月から義務化されるものです。医科では、この4月から原則義務化がスタートしているはずです。この診療点数明細領収書の発行は、いわば、カルテをコピーしてお渡しすることと同じです。これにより、医療の透明性がより高まり、医療に対する信頼を増すことにつながると思われます。当医院では、歯科ではいち早く、この体制を完備しました。5月1日から新しい領収書を原則発行します。

明細書発行体制を整えました
しかしながら、この明細領収書の発行は、良いことばかりではありません。
診療点数が明示されることは、一見、行われた診療行為と点数との関連が理解できて良さそうに思いますが、もともと現行の保険制度が、実際の医療行為の評価を適正に行って構築されているとは言えない制度のため、内容等について、ご理解いただけない点も出てくるものと思われます。

保険制度は、大変複雑であり、改訂に一貫性はありません。そのため、内容を詳しく理解することは、困難です。術式により、点数に当てはまるもの、当てはまらないものもあります。点数は、必ずしも行った医療行為に即しているとは限りません。
また、診療の順序についても、保険制度上の制約があり、必ずしも希望に添った治療を受けられるわけではありません。

初診への厳格対応
 皆さんは、被せ物が取れたという主訴で来院されたとすると、基本的にはすぐにでも被せてほしいと思われると思います。これは当然のことです。しかし、現行制度では、被せ物の治療を優先して、その治療後に、全体のレントゲンを撮影し、歯周病の治療を継続して行うということは許されていません。これは、学術的に、歯周病の治療が必要な状態にもかかわらず、歯周病の治療をせず、被せ物をセットすることは良くないという見解に基づくものです。従いまして、初診の患者さんには、最初にご説明しますが、この治療手順をご希望に合わせて、伺わせていただきます。

 基本的に、虫歯治療、入れ歯治療、歯石除去、歯周病の治療が必要、もしくはそれを希望されているときは、痛みを取る治療は優先できますが、痛みが取れたなら、歯周治療(歯石除去)を先に受けて頂かなければ、虫歯治療、被せ物治療、入れ歯治療は受けられません。先に一本だけ、被せてからというわけにはいきません。

もし、治療のみを優先するご希望であれば、歯石除去や歯周病治療、予防処置は、その治療完了後、3ヶ月後に改めて初診で来院いただく必要があります。
このように、初診の算定時期と治療内容に関しまして、厳格に対応させていただきます。

保険での予防歯科対応へのご理解
 予防歯科は、本来、疾病保険である現行保険制度にはなじまないものです。今の制度では、病気を直すための点数制度ですので、予防歯科のように現在は、問題がなく、将来、問題が起きないように予防するという発想は点数のなかには十分に反映されていません。
そのため、予防歯科を保険の範囲で対応するためには、点数の当てはめが必要です。点数の算定が実際に行っている行為と必ずしも一致するとはかぎりません。

 現在、45分の予約枠で予防診療を行っておりますが、概ね2,500~3,000円の負担金になるように調整されています。このような算定の仕方は現在までには、特に問題ありとは言われておりませんので、保険で予防診療が可能と判断しています。将来は、このような点数の算定の仕方はできないということになると、予防歯科は自費対応になると思われます。

 このように、予防歯科における点数算定にはご理解いただきにくい点もあろうかと思います。私達は、皆さんに保険の範囲で、予防処置をお受けになれるように最大限努力しておりますので、ご理解のほどよろしくお願いします。
しかしながら、強く懸念をお持ちの場合は、保険における予防診療はお断りせざるを得ません。その方には自費で対応させていただきます。